13.勝俣 和仁

「取材相手を気持ち良くさせろ!」とはディレクターA氏の至言。

ドキュメンタリーの取材では、取材相手の本音や、心の奥に隠した暗い部分を聞き出すこともあります。そんなきわどい質問を投げかけられる関係性を作るためにも、ときに取材相手を“気持ち良くさせる"のは大切です。

さて、ある神戸のロケでのこと。

取材相手から「勝俣くんは、巨人の桑田に似ているね!」とイジられ、ちょっとした笑いが起こりました。

「明日また会うときに、巨人帽を被って現れたら喜ぶだろうな…」

そう考えた私は、ロケが終わった夜9時頃から巨人帽を探し回ったのですが、なんといっても場所は神戸。オリックスや阪神の帽子ばかり。店先で「巨人帽なんてあるわけないやろ!」と怒られたりもしました。

それでも諦めず、日付が変わっても、元町駅で終電を逃した酔っぱらいに「巨人帽を持っていませんか?」と聞き回りました。すると、あるサラリーマンが、「三宮にあるバーの店主が、巨人ファンだよ」と教えてくれました。

30分歩いて、その三宮のバーにたどり着き、店主に事情を話すと「協力したいけど、帽子は持ってないなあ…」
ここまで来て、ダメか。うなだれる私。なんだか申し訳なさそうな店主。他のお客さんもなぜかちょっと悔しそう。

「あ、ちょっと待って。こんな時間だけど、知り合いの巨人ファンに聞いてみる」そう言って、店主が電話をかけてくれました。

「持ってるってよ!でもこれから夜の仕事で家を出ちゃうから、家のポストの上に置いておくって。勝手に持っていって良いってよ!」

そうして、無事、巨人帽を借りることができたのでした。巨人帽を持っていた方のご自宅がなかなか見つけられず、手に入れたのは深夜の3時を過ぎていました。

翌朝、ホテルの前に車両を回し、ロケスタッフを迎えた私の頭には、多くの方のご尽力を得て入手した巨人帽が誇り高く輝いていました。ディレクターもカメラマンも音声さんも、「よくやった!」と感心していました。

さて、巨人帽を被ってロケ現場に訪れた私。肝心の取材相手のリアクションはというと・・・ややウケ。でも、あんまり笑いは起きなかったけど、“取材相手を笑わせるために、ここまでするんだ"っていう気持ちを見せることが大切なんだと思います。

・・・とか言いつつ、本当は、私が楽しいからやっているだけなんですが。

そんな私も、今年でAD5年目になります。今年こそディレクターになろう!

PROFILE

勝俣 和仁(かつまた かずひと)

出身地
横浜市
入社
5年目(2010年入社)
主な番組
  • テレビ東京 「クロスロード」(AD)
  • NHK「ようこそ先輩 課外授業」(AD)
  • NHK「ドキュメンタリーWAVE」(AD)
最近の課題
  • 通る企画を書くこと。
  • お酒の量が増え、体重も増え続けていること。