情熱大陸
「#1356 野菜農家 上田拓郎」
【毎日放送】6月8日(日)23:10〜23:40
基準は「自分が食べたいかどうか!」
奥能登の自然で育む “奇跡のトマト”
石川・輪島市の小さな農園で作られるトマトが今、一流シェフたちの間で話題を呼んでいる──。
手がけるのは上田拓郎、41歳。家族経営の1.5ヘクタールの農園では、イタリア野菜をはじめとする70種類の野菜を育てている。中でも評判なのが、水を極限まで絞り、しっかりとした果皮に強烈な甘みと酸味が閉じ込められた「トマト」。「こんなのに出会いたかった!」はるばる現地に足を運び、仕入れを直談判するシェフも珍しくない。
美味しさの裏には「徹底した水管理」と「実が緑色でいる期間をできるだけ長くする」ための緻密な戦略がある。北陸の一般的な種まきが3月のところ、上田は2か月も早い1月にスタートを切る。地中に電熱線を這わせ、その上から遮光と保温のシートを二重で被せ、温める。極寒の時期からじっくりと育てることで、糖の蓄積する時間を稼ぐのだという。
さらに、植え付けから収穫までの2か月間、一滴すら与えないこともあるくらい「水をやらない」のも特徴だ。味を決定づける収穫の時期には、特別のこだわりがあった。「満月の前後は樹液(水分)が上に集中し、新月は根に向かう。だから最も水分が落ちた新月の夕方に収穫するトマトが一番美味しいんです」
そんな上田に予期せぬ試練が訪れる。去年9月、能登半島を襲った集中豪雨。猛烈な雨で農園のすぐ側を流れる川の堤防が決壊。トマト栽培には不向きな"湿気"を含んだ土砂が、30センチ以上も畑を覆い尽くしてしまった。
番組は、豪雨直後から初夏の収穫までの半年間に密着。復旧作業と再起をかけた日々・・・だが、ようやく芽を出したトマトに次々と異変が現れる。果たして上田は、幾度の試練を乗り越え奇跡のトマトを実らせることができるのか?懸命に自然と折り合いをつけ、挑み続ける農家の知られざる営みを追った。