平岡 亜美

PROFILE

平岡 亜美(ひらおか あみ)

平岡 亜美(ひらおか あみ) /AD

出身地
東京都
入社
4年目(2022年入社)
これまで携わった主な番組
  • NHK BSスペシャル「ウクライナ 戦火のクリスマスプレゼント」(AD)
  • NHK BS「男たちのモロカイ・ホエ 世界一過酷で美しい海洋レース」(AD)
  • NHK BS「英雄たちの選択 “海賊”平安朝を揺るがす〜真説 藤原純友の乱〜」(取材D)
  • NHK BS「ミニドキュメンタリー やつらが吠える渋谷の夜」(D)
趣味
  • サッカー/ホラー映像を見る

ここでは数ある先輩方の「ためになる話」は沢山読めるので、先日NHKで放送された初ディレクター作の10分ドキュメンタリーを作り終えて、初恋みたいな甘酸っぱい今の想いを冷凍保存する気分で、コラムに残したいと思います。

舞台は、3年前渋谷にオープンした東京初のスタンダップ専門店「Tokyo Comedy Bar」。
バーでは日本に住む、本業も国籍も様々なコメディアンたちが、自らの何気ない日常を“笑い”に変えるために、夜な夜なステージに上がります。
番組主人公に選んだ中国出身の楊さんは、バーで初めて会った時は超ハツラツガール!純粋にコメディを楽しむ無邪気な少女のようでした。それでも彼女から零れ落ちる言葉や表情の節々から、生まれた環境も全く違うのに「なんだか自分と同じ匂いがする…」そう感じ、後日カフェで二人女子会をすることに。マカロンをつまみに、仕事のこと、外国である日本で一人生きること、家族のこと… 彼女が背負ってきた幾つもの重みをそっと教えてくれました。
「中国人である自分と、日本に来て日本人っぽくなってきてしまった自分。どちらも諦めたくない、失いたくない。どちらの自分もぜんぶ保留していきたい。」人は生きていると、移り変わる環境ごとに何かに染まっていかなきゃいけない。染まったフリをしなくちゃいけない時があるんだと思います。だからこそ、時どきに良くも悪くも更新される今の自分を、そのままで受け止めてくれる場所が必要なんだと、彼女の人生が教えてくれました。
彼女がコメディをしなきゃいけない理由と、私がドキュメンタリーをしなきゃいけない理由が重なったようでした。

ある日のスタンダップのネタ中に彼女が、取材している私をネタにした時、一瞬ドキッとした反面、なんだかイジられているのに、とっても心地よい気分に。
彼女は自分にとって1番大切な“舞台”という場所で、自分自身をネタにして笑いを取る場所で、私をネタにしてくれている!物凄く人として信じて貰えているような、ディレクターとして誇らしい気持ちになりました。取材終了後、彼女に、「透明人間か!」ってくらい心を見透かされた気がすると言われた時、この番組を作れて良かったと思いました。

NHKの若手挑戦枠の10分ドキュメンタリーだからこそ、私のやりたいように、カメラマンも編集マンも、プロデューサー陣も何でもやらせてくれました。
きっとこれからディレクター歴を重ねれば重ねるほど、自分がやりたいことよりも、視聴者が見たいものや番組として見せるべきものを優先する方が良いと思うのかもしれません。それでも私は初めての、自分にとっては“我が子”のようなこの番組で、彼女を撮影できたこと、自分を語れたことが幸せでした。自己満足上等です。
この初心はきっと忘れてしまうけど、でもこの10分が思い出させてくれるのだと思います。