小山 修祐

PROFILE

小山 修祐(こやま しゅうすけ)

小山 修祐(こやま しゅうすけ) /AD

出身地
神奈川県
入社
2年目(2023年入社)
主な番組
  • NHK BSP & BS4K「美の壺〜和の光満ちて 障子」
  • NHK BS「堤真一の地球大紀行〜南米・チリアタカマ砂漠」
  • NHK BS「おら、痛いのやんたぜ」
おすすめの小説
  • 柴田勝家「走馬灯のセトリは考えておいて」
  • 菅浩江「博物館惑星 歓喜の歌」
  • 三津田信三「刀城言耶シリーズ」
  • ケン・リュウ編「折りたたみ北京」

出社初日のカバンの中に、何度も読み返した沢木耕太郎の『深夜特急』を入れたのは、何やら大きな旅が始まりそうな予感がしたからです。

私が通っていた高校にはある噂がありました。
その高校の2年生になると、窓側の席に座る生徒の成績が、ガクンと落ちるというのです。
私が高校を選んだ理由はそこにあったと思います。
私の母校は日本一海に近い場所にありました。
一年生の教室は一階にあり、隣の校舎に隠れて海が見えません。でも、進級と同時に階も上がり、教室の窓には横長に区切られた大きな水平線が描かれるようになります。
窓側の席になった生徒は、授業もそっちのけで海を見てしまいます。
そんな場所に通っていたからか、私はクジラの研究を志していました。
人間では計り知れない壮大な何かが、クジラの大きな体と、海という彼らの大きな住処に眠っているのではないか。そんなロマンに駆り立てられていたのです。

時間の前後は定かではありませんが、当時見た夢を覚えています。
僕は砂浜に立っていました。
真昼の月が見える透き通った空から、大きな白いクジラが泳いで降りてきました。あの口の形はセミクジラです。
落下でも浮遊でもない優雅な泳ぎのまま、海面にザバーン。
そこで終わりだったと思います。
『ロマンを目指して大きな世界へ、外へ飛び出したい』と思い始めたのはその頃からでした。
高校の近くの海岸には、時たまクジラが打ち上げられたので、もしかしたら夢じゃなかったのかもしれません。

最終的にクジラの研究者にはなりませんでした。研究職に就くには、私はいろんなものに興味を持ち過ぎていました。その中の一つがクジラだったのです。世の中、ロマンに溢れ過ぎです。
だから、一つの学問を学ぶのではなく、学び方を学べる学科を選びました。元新聞記者の方が教授をしているゼミに入り、取材で情報を集める方法と、得た情報を文章で物事を伝える方法を身につけました。
その後、就活では様々な事情でかなり苦戦しましたが、教授からの紹介で出会い、縁があって新卒でこの会社に入りました。
元々は新聞社の入社試験を受けていたため、ドキュメンタリーへの情熱が最初からあったわけではありません。しかし、私は今この会社にいる現状に満足しています。

私はまだ2年目で、ドキュメンタリーがなんたるかや、この業界がどんなものであるかを語れるようにはなっていません。
ただ、唯一わかっているのは、この会社では働く中で自分のやりたいことを叶えることができる場合もあるということです。
例えば、会社内で先輩と雑談をしている時。私が抱えるニッチな趣味について熱く語っていると、それ企画になるかもね!と言ってもらえることが多くあります。
50年前に計画された巨大建造物の鮮明なイメージ画が見たければ、それが作れる番組を企画すればいい!憧れの人がいるのであれば、その人のインタビューができるようなものを考えればいい!という風にできることがあるようです。
おそらく私は、「私の抱えるロマンを表現することと再確認すること」を目的にこの会社にいるのかもしれません。また、「何にロマンを求めるのか」「どこに未だ見ぬロマンがあるのか」を探すため、仕事の中で旅をしたいのかもしれません。

もちろん、それを叶えるには努力や技術や経験が必要です。ロマンを追求して呆けていてもディレクターになれるほど甘くはないようです。大変なことも辛いことも他の社会人と同じぐらいにあると思います。
働き方も、普通の会社員のように毎日同じデスクに座って、時間になったら帰る、というものではないです。
それでも、この会社でどうにか頑張れば、目標を少しずつでも果たせると思っています。
2年目の今の所は夢とロマンを見ながら頑張れています。今の所。

ちなみに、『深夜特急』は最後まで読めていません。4巻までを読み返すたびに旅の終わりが悲しくなるからです。。。

入社面接の前の日。私はこの会社のスタッフコラムを見ていました。
漠然と、こういう人たちと話してみたいと思いながら面接に臨みました。
この会社には面白い人が多いです。様々な発見を与えてくれると思います。

ロマンを追い求める私の旅はまだまだ続きます。
このコラムが、これから入社する仲間たちの力に少しでもなれることを願っています。