15.日向 史有

「ドキュメンタリーは、“いただきもの"である」

先輩達から言われ続けてきた言葉を
ディレクターになって7年間、ずっと考えています。

フィクションとは違い、役者が演じるのではなく
ドキュメンタリーは、実際に社会で生きる生活者を撮影し、番組を制作します。
自宅や働く場などなど…その対象者の方の生活の場にお邪魔し
その人の“核"になるような話しを聞かせてもらう。
また、何時間も時には何日、何年も撮影させてもらう事もあります。

冒頭の言葉の意味の1つめは、そんな風に取材させてもらう
「対象者に謙虚であれ」という事。
その人の時間や思いを“いただいている"意識を忘れるなという戒めです。
それは基本の「キ」で、取材者として当たり前のスタンスだと思っていますが
「テレビに出してやる」という傲慢さを持つ取材者もいるのかもしれません。

そして、冒頭の言葉の2つめの意味を最近少しずつ実感しています。
それは「目の前で起きている現実を大切にしろ」ということ。

取材にはもちろん、番組のテーマや構成を事前に思い描いて臨みます。
でも、そんな自分の小さな頭で考えた想定通りに進む取材現場は、ほとんどありません。
撮影できると思っていたものが撮影出来なかったり
想定が全く現実に沿っていなかったり…と、毎回毎回が恐怖の連続。

でも逆に、想像を越えた瞬間に出会えたりすることも多々あります。
そんな 現実からの“いただきもの"を大切にしろということが2つ目の意味だと思っています。
小さな想定に当てはめることばかりを考えると
全くちぐはぐな番組が出来上がるということです。

対象者や現実からの“いただきもの"は、
ドキュメンタリーを作る醍醐味の1つです。
この先、何度そんな“いただきもの"に出会えるのか、楽しみでなりません。

PROFILE

日向 史有(ひゅうが ふみあり)

日向 史有(ひゅうが ふみあり)

出身地
東京都
入社
9年目
主な番組
  • NHK BS1「ドキュメンタリーWAVE」
  • BS日テレ「森人」
  • BS-TBS「地球絶景紀行」
  • TBS「情熱大陸」
最近見た映画
  • 『BiSキャノンボール2014』
  • 『サンドラの週末』
  • 『ある優しき殺人者の記録』