桐山 真二郎

PROFILE

桐山 真二郎(きりやま しんじろう) /ディレクター

出身
:東京都
入社
:11年目(2002年入社)
主な番組
:NHK「ETV特集 アンジェイ・ワイダ祖国ポーランドを撮り続けた男」
「世界一周!地球に触れるエコ大紀行」
「プレミアム8華麗なる宮廷の妃たちシリーズ」
「世界ふれあい街歩き」
BS日テレ「森人」など
創作のモットー
:「悪魔のように細心に、天使のように大胆に」
受賞歴
「ETV特集アンジェイ・ワイダ」にて
2008年ATP賞グランプリ
第42回アメリカ・ヴィデオ・フィルム祭 歴史・伝記部門クリエイティブ・エクセレンス賞

ドキュメンタリーをやっていて面白いのは、頭のいい奴がいつも勝つとは限らない、というところだ。ディレクターはそれぞれに固有の武器を持ち、それを最大限に使って勝ちに行く。ある者にとっての武器は"体力"かもしれない。3日間寝ないで被写体を追いかけ、その人がたった一瞬見せた素の表情を見事カメラに収めるかもしれない。ある者にとっての武器は"笑顔"かもしれない。門外不出のお宝を持つ老人を、出会った瞬間に笑顔で虜にし、これまで誰もなし得なかった秘伝の撮影に成功するかもしれない。要は、武器とは「その人の個性」ということだ。個性が結実し、番組となる。では個性とはどう出来上がるのか?考えてみたけれど、その人がこれまでどう生きてきたか、でしかないのではなかろうか。おお、それはつまり、人生。ディレクターの人生が番組を決定する。何やら大仰なことになってしまったが、あながち間違いではないような気がする。そのようなドキュメンタリーという仕事に、僕はたいへんな面白みを感じている。

と、ここまで僕は不用意に、ドキュメンタリーにおいて「勝つ」という言葉を使ってきたが、果たして「勝利」とは何か?視聴率をとることか。賞をもらうことか。金持ちになることか。どれも捨てがたく、ありがたいが、どれも何だかしっくりこない。まあそれも、人生においての勝ちとは何か、という問いになかなか答えが出ないことと似ているのかもしれない。そのあたりもドキュメンタリーと人生は繋がっているようだ。